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●川津幸子 著●主婦の友社(2025年7月)●21×14.9cm/127頁●定価1,600円(税込1,760円)
100文字で表現できるあっという間の工程と、見やすい文字の大きさがうれしい。まずはたんぱく質をしっかり摂る、魚・肉・豆の主菜を紹介。お酒と楽しむ一品、ゆずこしょうをアクセントとして使った副菜など、簡単で素材が引き立つレシピの数々。少ない材料を煮るだけの「にもあるんじんおかか煮」がわが家でも好評。料理編集者の経歴著者が、幅広い層のファンを持つのもうなずける。おすすめです。(な)
●丹野智文+恩蔵絢子 著●中央法規出版(2026年1月)●18.9×13.1cm/297頁●定価1,700円(税込1,870円)
認知症当事者と、認知症の母の介護経験を持つ脳科学者による対談。家族への依存が認知症を進行させることや入院のリスクを知ると、認知症への見方が大きく変わる。進行を遅らせる習慣に「家族だけではなく、尊重し合える仲間を見つけ、チームを作る」、周囲の人が「愛のある言葉かけをする」とあるが、これは皆に通ずる。学びが多く、年齢を重ねることへの不安に向き合う勇気をもらった。(薫)
●山村秀炯 著●内外出版社(2025年7月)●21×15cm/95頁●定価1,200円(税込1,320円)
「おひとり老後」を安心して迎えるためには、元気で判断能力があるうちに準備することがたくさんあります。本書は入院、介護、相続などで使える制度や選択肢がコンパクトにまとまっていて、即、役に立ちそう。防犯や人付き合いにまで言及しているのは、長年サポート事業に携わり多くの事例を見てきた著者ならでは。「頼りにできる人は思っているほど身近にいない」……そうですね、備えます。(a)
●末盛千枝子 著●KADOKAWA(2025年12月)●21×14.9cm/127頁●定価1,600円(税込1,760円)
「すえもりブックス」を設立し、絵本編集者として活躍してきた著者。岩手県に移住し岩手山を望む家で暮らす日々と、これまでの人生で得られた気づきをつづります。豊かな自然に恵まれた穏やかな暮らし、大切にしているもの、仕事のこと、家族のこと。辛かったことも何気ないできごとも「そういうことだったのか」と振り返り、さまざまな人との縁に感謝する。年を重ねることの豊かさを感じます。(玲)
●たかせさと美 著●KADOKAWA(2025年11月)●21×14.9cm/127頁●定価1,700円(税込1,870円)
疲れを感じていた著者の体調が安定した、簡単なのにおいしいスープの数々を紹介。肉や魚介のスープはたんぱく質をしっかり摂れて、野菜のスープは体調を整えてくれます。グルテンフリーで腸内環境もよくなります。薬膳を意識して考えられた温かいスープは、体も心もほっと癒やします。私のお気に入りは梅干しや海藻を使ったもの。びっくりするほどいい味わいのだしが出ました。(み)
●warmerwarmer(ウォーマーウォーマー) 著●オレンジページ(2025年10月)●18.8×12.9cm/255頁●定価1,800円(税込1,980円)
黒地に色鮮やかな野菜。どれも個性豊かで愛らしい。紹介されている200種は、代々種から受け継がれてきた希少な野菜。普及と販売を行なう著者は「古来種野菜」と呼びます。長い歴史の中で地域の食文化や伝統を守ってきた「物語を持つ」野菜たち。この「うつくしくておいしい」宝物を未来に繋いでいくためにできることは、知ること、そして食べること。その初めの一歩となる美しい一冊。(玲)
●岡根谷実里 著●山と溪谷社(2025年3月)●18.8×13cm/199頁●定価2,000円(税込2,200円)
世界の台所探検家が、アジア、ヨーロッパ、中南米など24の家庭に滞在し、その地の料理を一緒に作ります。見たことのない料理に驚きますが、かなり魅力的。他人の台所にすんなり入ってつまみ食いやおねだりをする著者の度胸はかなりのもの。異国の台所や食材の写真がいいアクセントになってワクワクします。巻末にはレシピもあり、「姑の舌」というなすの料理に興味津々です。(み)
●鎌田實+荻原博子 著●主婦の友社(2025年3月)●18.8×12.8cm/207頁●定価1,500円(税込1,650円)
「健康」と「お金」のプロの対談。老後の健康維持方法やお金の貯めかたなど、具体的なエピソード、数字、データにもとづいたシビアなテーマが中心。鎌田先生は「メタボは認知症のリスク」、荻原さんは「死ぬ前にお金を使いきれ」と。おふたりのリズム感ある会話から明るい老後が待っているような気がしてきます。高齢期を幸せに生きるためのヒントは、「人生を楽しむ!」ことのようです。(深)
●関根佳恵 著 全国オーガニック給食協議会 協力●農山漁村文化協会(2025年6月)●21×14.8cm/100頁●定価1,000円(税込1,100円)
有機農業を広めることで地域のさまざまな問題の解決につながっていくというオーガニック給食。先んじてブラジル、フランス、韓国などでは導入が進んでおり、本書は進めるにあたっての課題や道のりを示してくれます。給食という公共調達により、地のものを見直し利用すること。それにより、子どもたちとそこに住む人たちの健康な暮らしや、環境の改善につながっていくことが期待されます。(洋)
●池谷敏郎 著●青春出版社(2026年1月)●17.4×10.9cm/189頁●定価1,100円(税込1,210円)
テレビなどで活躍の医師。「コレステロールの質の改善を行うと、血管の老化である動脈硬化を防ぐだけでなく、肌がきれいになる、見た目が若返るといったうれしいおまけがついてくる」と教えてくれます。中高年女性にはうれしい情報です。LDLコレステロール高めの自身の経験から、薬に頼らない食事や、1日9000歩のウォーキングなど日常生活の実践ヒントも。具体的で参考になります。(深)
●朝日新聞社 編●朝日新聞出版(2025年5月)●21×14.9cm/239頁●定価1,400円(税込1,540円)
朝日新聞社の記者が最新データを基に、選挙制度、国会運営の仕組み、内閣の役割、憲法、財政、政治思想と政党、三権分立といった政治の基本をわかりやすく解説する入門書。「103万円の壁」、働き方改革など、近年の政治課題や過去の経緯まで幅広く網羅している。難しい言葉は使わず、豊富なイラストや図解でとても読みやすい。気になる用語を確認し、日々のニュースへの理解を深めたい。(星)
●小和田妙子 著●KADOKAWA(2025年10月)●21×14.9cm/127頁●定価1,500円(税込1,650円)
30代からずっと夫と写真館を営んできた著者。60代で小さな住まいへ移り、洋服を3分の1に厳選。シャツとスカートのベーシックな組み合わせなのに、さりげないセンスを感じるのはなぜ? モデルや芸能人でない市井の人の等身大のファッションは、高価なブランド品や流行物がなくてもすてき!ワードローブはもちろん、ヘアスタイルや立ち姿に美しく見えるヒントが詰まっています。(亜)
●青木恵理子 著●主婦の友社(2022年4月)●25.7×18.3cm/95頁●定価1,400円(税込1,540円)
人気の麻糸のバッグが勢ぞろい!目移りしてしまうかわいさに、初心者でも大丈夫と著者が太鼓判を押す作り方と知ればヤル気もUP!説明は丁寧で、基本のトートバッグ2種はプロセス写真のほか、2次元コードから動画も見られます。ぐるぐる編んでいくうち1本の糸が底になり、バッグの形にできあがっていくワクワク感はたまりません。自分で編んだお気に入りのバッグで、おでかけの気分も上がります。(空)
●松崎桃子 著●大和書房(2025年9月)●15×10.5cm/319頁●定価900円(税込990円)
留学後もパリを頻繁に訪れている著者は、見るものや行く場所が豊富なパリだからこそ、ひとり旅をすすめたい!という。フライトとホテルだけのプランを予約して、各国料理のファストフード店やデリ、美術館のカフェなどを利用すれば食事の悩みも解消。あとは本書を片手に、暮らすようにパリを歩くだけ。最近注目されているパリ北東部や郊外のアラウンド・パリ情報も満載です。(万)
●滝沢秀一 著●河出書房新社(2025年7月)●18.8×12.9cm/208頁●定価1,540円(税込1,694円) ※対象年齢:中学生から
買って使って簡単に捨ててしまう現代。最終処分場はあと24.8年しかもたないかもしれません。お笑い芸人でごみ清掃員の著者が、収集現場で感じたことをおもしろく伝える本書は、ためになることばかり。捨ててスッキリするのは自分だけ、人間性はごみに出る——一人ひとりの行動を考えさせられました。未来を生きる子どもたちにも、自分ごととして向き合ってほしい。親子でぜひ。(な)
●新津春子 著●NHK出版(2024年12月)●25.7×18.4cm/95頁●定価1,100円(税込1,210円)
世界一清潔な空港と評された羽田空港の清掃のプロが家庭の掃除が楽になるように考えてくれました。体の動かし方と重心のかけ方を真似るだけ。上手に動くと疲れない。タオル1枚持って家中をピカピカに。たった5分の習慣が掃除の行き届いた家にしてくれます。大掃除をしなくてもきれいが保てるなんてお得すぎる。合理的なやり方さえ学べばこんなに楽にできたのね。早く知りたかった!(友)
●てんてこまい 著●KADOKAWA(2025年7月)●21×14.9cm/222頁●定価1,450円(税込1,595円)
「私の小さい頃の思い出に、楽しい思い出はありません」と始まるおばあちゃんの作文は、53歳で入学した夜間中学で初めて書いた自分史でした。孫である作者が、その作文をもとに描いたコミックエッセイです。徳之島で生まれて戦争で家族も教育も奪われ、それでも前向きに頑張って生きぬいたおばあちゃん。戦争のリアルな残酷さが伝わってきます。子どもたちと一緒に読んでほしい一冊です。(由)
●横井智之 著●岩波書店(2025年3月)●17.2×10.6cm/175頁●定価880円(税込968円)
花粉を花から花へと「送粉」するハナバチ。かれらがいなければ多くの野の植物や、野菜・果物の生産者は大いに困る事態に。その送粉サービスを換算すると4,700億円にも上る。しかし近年、環境破壊や地球温暖化で昆虫の種類や数は減少。食卓や咲く花々を豊かにしてくれるハナバチの保全は、生態を学び、餌となる在来の花を庭やベランダで育てることから。ハチ・人ともにうれしい暮らしを。(か)
●あべ弘士 作●偕成社(2021年10月)●25.1×25.1cm/36頁●定価1,700円(税込1,870円) ※対象年齢:幼児から
森の中を流れる川を下り、岩山に舟をつけて火を起こし、一夜を明かす。村一番の猟師である祖父と「わたし」の旅の途上を描いた物語です。木々の美しさ。夜の深い青。生きものたちの静かなまなざし。光に満ちた夜明け。私もそこに立っていると錯覚するくらい、鮮やかで迫力のある絵に惹きつけられました。今日が明日になり、「わたし」は大人になる。私たちもまた。ひとの営みを思う一冊です。(理)
●マリー・ホール・エッツ 作 まさきるりこ 訳●好学社(2022年4月)●18.8×23.7cm/32頁●定価1,500円(税込1,650円) ※対象年齢:幼児から
ぼくは「ことりみたいには、とべない」けれど、おんどりやぶたをまね、農場や森を進みます。シンプルなお話をわが子に読み聞かせながら、ささやかな「できる」を喜ぶ小さいひとの才能に気づかされます。本当は大人にもあるはず。人間はボートだって乗れる、どこへでも行ける……。最後のお父さんと「ぼく」は、同じ絵本の中で異なる体験をし、ともに現実に帰っていく親と子の姿のよう。(法)
●なかがわちひろ 作●のら書店(2025年4月)●21×15.7cm/55頁●定価1,500円(税込1,650円) ※対象年齢:小学校低学年から
『すてきなひとりぼっち』『ぼくは、ういてる。』の後日譚。ようやく自分の同類と知り合えた一平くん。でも最後に話したのは先週で、それで友だちと呼べるのか悩む。そんな折、おじいちゃんには「ちょっとだけの友だち」がいると知り……。子どもは学校が世界のすべてのような面があり、人間関係に悩む子は多いかも。趣味嗜好が全部合う人はいないと気づいた一平くんがたどり着いた答えは?(瑞)
●マイケル・モーパーゴ 作 ないとうふみこ 訳●徳間書店(2023年3月)●18.9×13.3cm/197頁●定価1,600円(税込1,760円) ※対象年齢:小学校高学年から
順番どおりに最後まで読んでほしい、という何やら謎めいた前書きに誘われ本を開くと、ケルトの伝説が息づくイギリスの実在の村を舞台にした5つのお話が待っています。荒々しくも豊かで、太古より妖精など想像力の源であり続ける自然。物語の鍵を握る神秘的な動物たち。少年少女が出会う不思議な出来事の数々……気がつけば、丁寧に作り込まれたお話と温かなラストに惹きこまれていました。(法)
●フィリップ・C・ステッド 文 エリン・E・ステッド 絵 青山南 訳●光村教育図書(2021年11月)●22.3×24.4cm/48頁●定価1,400円(税込1,540円) ※対象年齢:小学校低学年から
動物園で働くエイモスさんは、仲良しの動物たちと遠足に行く約束をしていました。ところが楽しみにしすぎて眠れず、仕事には遅刻するし、忘れ物はするし、散々です。疲れて眠ってしまったエイモスさんのため、動物たちは……。エイモスさんと動物たちの間に育まれた、温かな信頼関係に心が和みます。背景にも楽しい発見があるので、ゆっくり絵を追いながら読んでみてください。(C)
●リーサ・ルンドマルク 作 シャルロッテ・ラメル 絵 よこのなな 訳●岩波書店(2025年2月)●21.7×15.3cm/156頁●定価1,700円(税込1,870円) ※対象年齢:小学校低学年から
小学2年生のイェニーは大きな声で話すのが苦手。大好きなサメのようにひとり静かにいたいのに、先生から「大きな声で」といつも注意されてしまいます。そんなある日、本物のサメと偶然出会ったイェニー。サメとの対話から“ある行動”がひらめいて……。物語のラストを飾るイェニーのひたむきでまっすぐな言葉が胸に迫る。「自分らしくいたい」と願う子どもたちに届きますように!(楽)
●オトフリート・プロイスラー 作 ヘルベルト・ホルツィング 絵 武本佳奈絵 訳●好学社(2023年11月)●29.2×21.8cm/26頁●定価1,700円(税込1,870円) ※対象年齢:小学校低学年から
舞台はロシア。ある日、イワンという村人の畑から緑色に輝くつりがねが出てくるところから、物語が始まります。その素晴らしい音色をうわさに聞いた傲慢な皇帝は、つりがねをほしがりますが……。印象的なラストは今にも通じるメッセージのよう。皇帝がいたころのロシアの歴史性と地域性を美しく重厚に描いた絵も魅力的です。作者は『大どろぼうホッツェンプロッツ』のプロイスラー。(理)
●小澤俊夫 著●暮しの手帖社(2022年1月)●18.8×12.9cm/221頁●定価2,000円(税込2,200円)
昔話研究の第一人者・小澤俊夫先生が、4月18日に96歳でご逝去されました。小澤先生が創設した「昔ばなし大学」で学んだ〈本選びの会〉メンバーの追悼文をカタログに掲載しています。詳しくはカタログをご覧ください。【本書に収録されているお話】●団子長者●尻ばおさえろう●ねずみの恩返し●つる女房●三年寝太郎●こわがることを習いに出かけた若者の話●灰かぶり●ろばの子 ほか
●小澤俊夫 監修 小澤昔ばなし研究所 編 小澤昔ばなし大学再話研究会 再話●岩波書店(2025年8月)●19.3×13.7cm/294頁●定価2,700円(税込2,970円)
昔話研究の第一人者・小澤俊夫先生が、4月18日に96歳でご逝去されました。小澤先生が創設した「昔ばなし大学」で学んだ〈本選びの会〉メンバーの追悼文をカタログに掲載しています。詳しくはカタログをご覧ください。【本書の内容】土地の言葉で記録された昔話を全国から集め、100話をテーマ別に収録。
●石田優子 著●偕成社(2025年6月)●18.9×12.9cm/223頁●定価1,500円(税込1,650円) ※対象年齢:小学校高学年から
広島に落とされた原爆は、多くの命だけでなく、たくさんの木々も焼き尽くしました。変形し、根だけになっても生き残った木々は、今も被爆樹木として広島の町に立っています。それらを見守る樹木医の話や被爆者たちの証言からは、原爆が後世まで残した傷の深さが伝わってきます。写真や地図、イラストも多く、戦争の悲惨さを子どもたちが今とつなげて感じ取る糸口となりそうです。(七)
●(一財)出版文化産業振興財団(JPIC) 編●出版文化産業振興財団(JPIC)(2026年6月)●28.3×21cm/73頁●定価1,200円(税込1,320円)
創刊25年の総集編企画。特集「子どもと一緒に平和を考える本」では、戦争と平和を描いた絵本・児童文学の新しい作品を紹介するとともに、380冊のリストも掲載。本を通して、子どもと平和を考えるきっかけを届けます。もうひとつの特集「おはなし会を開こう!」は、読み聞かせの基本からおはなし会プログラムまでを網羅。「読みきかせ・おはなし会用語事典 前編」と合わせ保存版です。(七)
●別冊太陽編集部 編●平凡社(2025年11月)●29×22cm/135頁●定価2,400円(税込2,640円)
戦後、40歳を過ぎて身近なものをモチーフにアップリケを作ることを思い立った宮脇綾子さん。ピーマンや玉ねぎの断面、鮭の切り身にスルメイカ……暮らしの中にあるものに美を見出し、着古した服やハギレをアップリケにした。大きな写真で見せてくれる作品には工夫と悦びが満ち、幸せな気持ちになる。創作の源となった日記も素晴らしい。多方面の方がその人となりについても語る。充実の一冊。(亜)
●婦人之友社 編●婦人之友社(2026年8月)●25.7×18.2cm/120頁●定価764円(税込840円)
シニアの不安は「健康」「お金」「孤独」という調査結果が。そこで、「身体」「経済」「生活」「精神」の4つの自立を勧める小谷みどりさん(シニア文化研究所)に、これからの人生、幸福感を持って生きるヒントを教えていただきます。また、いくつになっても生き生きと暮らす実例者の術も必見。宮沢賢治生誕130年記念の座談会には、「世界がぜんたい幸福に」と願う賢治の言葉が詰まっています。(お)
●加藤陽子 著 モリナガ・ヨウ 絵●毎日新聞出版(2025年5月)●18.8×12.9cm/317頁●定価2,000円(税込2,200円)
タイトルは「隣の芝生は青い」から。隣の世界史を「羨望しつつ面白がって」、戦前の日中、日ロ、日英、日独などを二国間関係史として考えます。戦争勃発までに二国間で起こっていたことは? 時の指導者の意図や人々の意識は? 世界の国から見てその時日本は? を捉えると、思い込みや偏見を減らすことにつながると思います。戦後80年余り、現憲法体制は戦前の失敗から理想として選択してきたもの。より多くの人々にとっての幸せな時間や空間を形成し、それを維持する知恵やヒントは、過去の歴史を学ぶことで身につくのだと著者は言います。(洋)
●堀部安嗣+中島岳志 著●ミシマ社(2025年5月)●18.8×13cm/163頁●定価1,800円(税込1,980円)
堀部安嗣氏はパッシブデザインを掲げる建築家。気候風土、生きもの、土壌、日差し、歴史……そこにあるものに寄り添い活かすという手法だ。この「自力」を押し付けない建築に政治学者、中島岳志氏は利他の精神を見出す。この本はそんな二人の対談から生まれた。利他において重要なのはコントロールしようとするのではなく、相手の主体性を尊重し、想いに沿いながら潜在的な力を引き出すこと。継承したい記憶や余白を大切にしながら立地を活かして建てられた住まいは、おのずと居心地のよいものになるという。暮らしを豊かにする気づきに満ちた本だ。(星)
●毛内拡 著●NHK出版(2025年6月)●17.1×11.1cm/235頁●定価980円(税込1,078円)
近年注目の免疫学を最新の脳研究からアプローチ。脳の仕組みと働き、自然免疫と獲得免疫の違いなどを丁寧に説明する。脳の半分を占めるも、何もしないと考えられていた「グリア細胞」が、実は脳の「免疫細胞」として活躍していることも明らかに。脳も臓器のひとつであり、身体の免疫系の影響を受けて炎症状態になり、それらの相互作用が心身の不調、依存症などにも影響を及ぼすという。また加齢・老化への対処についても、主観年齢と健康リスクの研究などから、免疫力を向上させるポジティブ感情を持つこと、適度な運動、抗炎症食品摂取などの重要性を説く。(よ)
●遠藤みどり 著●中央公論新社(2025年8月)●17.3×11.2cm/242頁●定価1,000円(税込1,100円)
男性君主のための女性たち、またその居住空間といえば、映画やドラマで描かれる江戸時代の大奥やイスラムのハーレムなどが頭に浮かぶ。本書では古代日本の、前述と同様の目的で皇位継承のために存在した「後宮」を歴史学者の筆者が、系図や図表を示して考察していく。古代日本は父母双系的構造で、天皇も通い婚、子どもは母方が育て、女性も相続権を持ち、労働報酬もあった。が、平安時代の摂関政治、院政を経て女性たちは政治の表からは消えていく。はるか昔の女性の生き方、社会構造の変化を知り、現代のジェンダー、天皇制を考えていきたい。(戸)
●朝井リョウ 著●日経BP(2025年9月)●19.4×13.9cm/444頁●定価2,000円(税込2,200円)
推し活という現象から見えてくる現代日本が抱える闇に切り込んだ小説。ファンだった俳優の死がきっかけで陰謀論にのめりこむ女性。推し活を計画的に作り上げる孤独な中年男性。自信のない自分に嫌気がさし、推し活の楽しさに目覚める女子大生。生きていく上での正解が存在しなくなった社会に冷徹に放り出された登場人物たち。3人のたどり着く先には何が待っているのか? 細やかな心理描写は著者の真骨頂。話題の受賞作という枠にはおさまらない、読み応えのある一冊です。(真)
●白水社編集部 編●白水社(2022年2月)●18.8×13.1cm/227頁●定価1,900円(税込2,090円)
ヘブライ語、チベット語、ベンガル語などなど、メジャーとはいえない言語で書かれた文学を翻訳する、この人たちは一体どんな人? 環境が整わない中で道を切り拓いてきた苦労、そして遠い世界の文学を届ける難しさとおもしろさが描かれます。その言語、国と文化、そこに住む人にはまっていく物語にもワクワクさせられます。マイナー言語による文学を読むことは、「その土地」に根差した価値観を知ること。でもそれが「いま、ここ」にいる自分にも響いてくる不思議、文学の力なのかもしれません。(水)
●尹雄大 著●大和書房(2023年5月)●18.8×13.1cm/260頁●定価1,700円(税込1,870円)
ライターとしてインタビューを重ねる著者。話し手の声、表情などの一つひとつから、その思いを、言外含めてくみ取る。私たちはここまで深く、人の話を聞いているだろうか。テクニックだけではない聞く力。これは誰にとっても大切なこと。話すこともそう。うまくなくてもいい。思いを伝えることに喜びがある。各章では著名人へのインタビューが紹介されている。声と体のズレ、思いを聞いてもらえなかった子どもなどのエピソードを通じ、話が深まっていく過程に引き込まれた。(き)
●エーリヒ・ケストナー 著 酒寄進一 訳●岩波書店(2022年6月)●14.8×10.6cm/368頁●定価1,050円(税込1,155円)
児童文学作家のケストナーはナチスによって作家活動を禁止されるも、国内に留まって密かに日常を記録。本書はそれを元に執筆された。1945年、戦火を逃れてベルリンからチロルの山村へ移り、ドイツの降伏を知る。戦後の混乱の中にあっても人々は日々の営みをたくましく再開していく。他国からの非難に対し、ケストナーはいちドイツ人としてさまざまに思いを巡らせる。逆らえない大きな流れの中で個人は何ができるのか。日記は「1945年を銘記せよ」として締めくくられる。(水)
●ジョン・マーズデン 文 ショーン・タン 絵 岸本佐和子 訳●河出書房新社(2021年1月)●28×21.7cm/32頁●定価2,000円(税込2,200円) ※対象年齢:小学校高学年から大人
誰もがよく知っている、あのウサギではありません。最初は「わたしたちにちょっと似た他者」として現れたウサギ。けれどウサギはわたしたちのように森には住まなかった。彼らが何を言っているのかがわからないまま、世界が変わってゆく。世界が奪われてゆく。それをじっと見つめるまなざしを描いた、大人に読んでほしい絵本です。そして、いつか子どもにも手渡してほしい。(理)
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